おじさん通信

 ◆ Vol.61 『「卵と玉子」「海老と蝦」「海藻と海草」の違いについて』

 読者であるキューピーさんの榊田真理さん(ホームページを担当)よりテーマのヒントを頂きました。ありがとうございました。
 榊田さんの周辺で「魚貝」と「魚介」の違いについて話題/議論になり、辞書などで調べてみると、どちらでも間違いではないようですが、「魚介類」と「類」をつける場合は「貝」ではなく「介」が正しいようです(HP等では魚貝類と書いている例も見かけますが、試験などでは魚介類と書かないとダメのようですよ)。
 「魚貝」は「魚や貝」という意味で、「魚介」は魚や貝に加え、甲殻類も含むことになるようです(一般には魚介類と言うと魚、貝のほかに、エビ・カニやタコ・イカ、昆布・ワカメ等も含み海産物なんでもありのようですね)。(カッコ内はおじさんの注釈)

 日本語にはこのように同じように使い、読みも同じだけど、漢字が違うという言葉がいくつかあります。例えば、「寿司と鮨」「海老と蝦」「卵と玉子」「海藻と海草」「竹の子と筍」。うんちくコーナーにとりあげたらいかがでしょうか?と言った内容のメールを頂きました。ありがたく頂いて、早速今回取り上げました。
 「寿司と鮨」には「鮓」もあり、調べたところ色々説があり、決め手がなく、取り上げると長くなりそうだったのでまたの機会に単独で取り上げることにし、今回は「卵と玉子」「蝦と海老」「海藻と海草」の違いについて取り上げました。

◆卵と玉子の違いとは?
 「たまご」は漢字で「卵」とも「玉子」とも書きますが、どう違うのでしょうか?

★明確な基準はないそうですが、一般的に、生物学的な意味での「たまご」=卵食材としての「たまご」=玉子という使い分けがされているようです。   たまご

 つまり、ちゃんと子孫を残すのため孵って(孵化して)育つことを前提としたものは「卵」で、魚や虫や蛙等のたまごも「卵」と書きます。
 それに対して、食用を目的とした「たまご」は「玉子」になるそうです。更に、玉子は(ほとんどの場合)鶏(にわとり)の「たまご」をさします(例えば食用でもウズラは玉子ではなく卵です)。

 ここで定義の上で微妙なのは鶏の有精卵です。これは雛(ひよこ)に孵(かえ)るから当然「卵」ですが、料理に使えば「玉子」になります。食用に大量に生産している無精卵(八百屋スーパーなどで安売りしているやつ)は最初から料理用だから「玉子」ですね。

●おじさんのまとめ的定義
卵は生物一般のいわゆる子供(子孫)のできる素(母体動物の生殖器内に生じる生殖細胞)です。
(専門的に言うと、卵とは未分化な生命元素であり、将来複数回の分化を経て、ある生物体を為すものである)
玉子とは生物の卵のなかの鶏(にわとり)の卵であり、且つ料理に使うものをいう。
 生物の卵>鶏の卵>鶏の卵の中で食材に使う卵=玉子(あて字)

★玉子はあて字らしいですが、その語源は
「玉」は宝石のようにすぐれて美しい、丸いものの意味。目玉、玉の肌などの玉で、丸くて価値のあるのが玉です。「子」は子どもの子で合わせて「玉子」となります。
☆また、タは「妙なる」で価値の高いもの、マは「丸」コは「愛称」という説もあります。

●<余談>●
★寿司(鮨)屋などでは玉子を略してギョク(玉の音読み)といったりします。

★(おじさんには縁のない世界の話ですが、)花柳界で「半玉」(ハンギョク)といえば一人前の芸者さんになる前の見習さんのことで、半人前の意味だそうです。人間も玉子のように丸みが出てこそ、価値があるということのようです。
★半玉についてもう少しうんちくを
☆半玉は関東の言い方で関西(京都)では舞妓さんの事、一人前の芸妓(げいこ)さんになる前の見習いさん(関東では芸者さん、京都では芸妓さん)。
☆半玉という名の由来は未だ半人前で玉代(芸者さんをお座敷に呼ぶ時の料金)が半分しかもらえないから、そう呼ばれたのだそうです。

●異説紹介● 屁理屈的違いや大喜利的回答など
★玉子は女の子の名前にもなるが、卵はならない。??(^o^)(座布団持っていけ!)

★鶏の「タマゴ」のうち雛(ひよこ)に孵るのが卵孵らないのが玉子
(これはかなり正しい、無精卵は玉子、有精卵でも料理したら雛には孵らないから玉子でいい。ただし有精卵を親鳥が巣から落として割った時、雛は孵らないので玉子か?いや違う)

★生の時は卵で、(食べるために)割ると玉子になる。
(これだとゆで卵の説明が?…イヤ、ゆで卵も食べるためには割るから玉子でいいか。座布団あげてもいい)

★「卵」は、で、生きている状態(受精卵も含む)で、「玉子」は加工などして、もとの状態とは違ったものを言う(玉子料理等)。

●これも余談●
 同じような使い分けで、「魚」があります。生きているものは「うお」であり、料理されているものは「さかな」と呼びます。ですから、正式に言うと「魚釣り」の場合、「さかなつり」ではなく、「うおつり」と読むのが正しいことになります。

◆「海老」と「蝦」の違い   えび
 エビも「海老」と「蝦」という漢字が使われていますね。これはどう違うのでしょうか?
 これは比較的はっきりしました。

★エビには歩行型のイセエビとクルマエビみたいな浮泳型に大別されます(歩行類と遊歩類)。
 英語で前者はLobster、後者をPrawn(体長5cm程度より大きいエビ)またははShrimp。

★我が国では曖昧なようだが本来は歩くタイプのイセエビのほうを「海老」と書き、泳ぐタイプのクルマエビ等その他大勢を「蝦」と書くのが正しいのです。だから、「伊勢海老」「車蝦」と書き分けるべきなのですね。

●まとめ●
★本来は「蝦」=車エビ、ボタンエビ、アマエビ、サクラエビなどの泳ぐタイプ(遊歩類)。英語はShrimpまたはPrawn。「海老」=伊勢エビなどの歩くタイプ(歩行類)。英語はLobster。

★しかし今は生物学など学問上は蝦と海老を書き分けますが、日常は「海老」が一般的になっている。特に食べる場面では全部「海老」ですね。蝦とかいたら読めない人も多いですね。
 これは料理したら玉子という卵と玉子の関係に似ている。

◆海藻と海草の違い
 海藻と海草は、どちらも海に生えている植物ですが、生物学上明確な違いがあります。
 読んでんで字の如しで、★海藻は藻(も)ですが、☆海草は陸上に生えている草の仲間です。

★海藻には根がありません。茎・葉も明確に区別できません。
☆海草は陸上の草と同じく根も茎も葉もあり、花も咲き実もなります

★海藻の仲間は昆布、ワカメ、ノリ、ヒジキなどがそうですが、確かに、岩に付着している根のような部分(仮根:かこん)はありますが、陸上植物のように水や養分を吸い上げるための根はないのです。また、どこから茎でどこから葉かも分からないですね。
☆一方、海草と呼ばれるものにはアマモやスガモなどありますが、これらは陸上の草が海中へ下りていったようなもので、砂地に生えていて、根もあり、茎も、葉もあり、花も咲き、実もなります。陸上の草で言うと菖蒲(端午の節句に菖蒲湯に入れるやつ)のような感じの草です。

★海藻は、胞子によって子孫を増やす。
☆海草は、種子によって子孫を増やす。

 皆さんが料理しておいしく食べているのは海藻です(食べられるものが多い)。
 海草は、普通は食べません(無理に食べても腹痛は起こしませんが、おいしく食べられるものはほとんどない)。

●余談ですが●
 陸上の脊椎動物の祖先が魚類であるのと同じように、陸上植物の祖先は藻類であったといわれています。そして、藻類には緑藻、褐藻、紅藻と3種類あるのですが陸上植物の祖先は藻類の中でも緑色の仲間、緑藻だと考えられています。
 つまり、緑藻の一部が陸上に進出してコケが生まれ、シダとなり、やがて花を咲かせる植物(顕花植物)へと進化したと考えれば、陸上植物の葉の色がすべて緑色なのも納得がいきますね。
 海草は陸上に上がった植物が一部古里に帰ったものと言うことができますね。

★以下はヒントを頂いた榊田さんのところのHPです。ぜひ覗いてみてください。
 最近マヨネーズの使い方が広がっていますね。美味しそうな料理の見本やレシピも載っています。 http://www.kewpie.co.jp/products/pro_index.html